『ビジネスで勝つネットゲリラ戦術詳説』(えらいてんちょう/KKベストセラーズ)

ビジネスのルールに変化が起こっている。かつてとは異なる環境が生まれ、昔なら成功するはずの手法が通用しなくなってしまった。そうした状況に多くの企業が戸惑い、ときには怪しげなコンサルタントに騙されるようなケースも発生している。そうしたなかで、ビジネスの「新しいルールを知る」ことこそ重要だ。ところが、新ルールがきちんと整理されないまま時間ばかりが過ぎていく。

本書『ビジネスで勝つネットゲリラ戦術詳説』は、ビジネスにおける新ルールを詳しく解説する一冊だ。新ルールを利用するうえで重要になる考え方は、「弱者の利点を活用する」ことである。これまでビジネスというのは、企業のものだった。特に「大企業」と呼ばれる巨大な組織こそビジネスの主役だったのである。大きな資本や多数の従業員を抱え、持てる力で事業を推し進める姿は、まさに「正規軍」と呼ぶにふさわしいものだ。正々堂々とは「強者の戦い方」なのである。

しかし、時代が移り変わったことで、それ以外の戦い方が可能になってきたという。それは、ビジネスにおける「ゲリラ戦術」だ。ゲリラ戦とは「遊撃戦」とも呼ばれるものであり、特定の目標を決めずに臨機応変な戦闘を行うものである。ビジネスにおけるゲリラ戦も同じであり、状況にすばやく対応し、即断即決で行動することを指す。ゲリラ戦術が有効なのは、「大企業にはない強みを活かせる」からである。

ゲリラ戦術の特徴は、「少人数」であるという点だ。つまり個人の活動こそゲリラ戦術の真骨頂である。なぜなら、「自分のことは自分で決められる」ため、始めるのも止めるのもすぐに決定できるからだ。大きな組織には「慣性」が働くため、一度決めたことはなかなか変えられない。動くにしても止まるにしても、とにかく時間がかかる。だが、個人・少人数の活動であれば、その日のうちに決めて行動を始めることもできる。それこそが、「正規軍」にはない強みである。

また、ビジネスにおけるゲリラ戦術には、「人の感情を利用できる」という利点もあるという。著者は人の感情に訴えるために、「贈与」の力が重要だと主張する。人間の感情というのは不思議なもので、状況によって揺れ動くものである。そして、感情が大きく振れている状況では、人の判断力に「バグ」が起こるのだ。たとえば、YouTuberというのは、どうしようもなく「共感」を渇望する。「自分の動画を観てほしい」「おもしろかったと言ってほしい」という欲望によって、感情が激しく動いてしまう。

そういう人に対して、「この動画よかったです」「次も楽しみにしています」とコメントすれば、それは相手に大きな喜びを与えることができる。「動画にコメントする」というのは、大した労力ではないが、相手にとってはとてつもないプレゼントに思えるわけだ。こうした「贈与」を積極的に行うことで、相手からの好意的な感情を引き出すのである。

すると、好意を抱いた人たちは、こちらに対して大きなメリットをもたらす。先ほどの例で言えば、コメントをうれしく思ったYouTuberが売れっ子になったあとでも、その当時の「恩」を覚えていたりするのである。人の感情の揺れ動きを利用すれば、100円のプレゼントが、10000円以上の効果を発揮することさえあるのだ。

これだけ聞くと、何か悪いことをしているようにも感じるかもしれない。しかし、これは要するに「相手が喜ぶものをプレゼントする」ということである。それは誰もが自然と行っていることだろう。それを「意識的かつ効率的に行う」ことが大事だというのだ。それは、個人が使えるリソースが少ないからである。大企業による「贈与」は、個人とは規模が異なる。「総額1億円キャッシュバック」「抽選で100名様に100万円分のポイントプレゼント」といった具合に、大規模なイベントとして展開されたりするのだ。

規模のうえでは、個人が大企業と戦う方法はない。だからこそ、「少額でも人に喜んでもらえるプレゼントを探す」ことが重要なのだ。大企業には、一人ひとりのニーズを掘り起こすような方法は選択できない。個人だからこそ、「この人が本当に欲しいものを贈る」ことができる。これこそがゲリラ戦術だ。

そして、ゲリラ戦術の最大の利点は、「撤退できる」ことになる。簡単に言うなら、失敗してもよいということだ。ビジネスを始めても、「これはうまくいかないな」と感じることがある。その場合はすぐに撤退して、別の事業に移ればよいのだ。これは大企業には不可能であり、だからこそ新しいことを始められないとも言える。ゲリラ戦の基本は、「攻撃と撤退を繰り返す」ことであり、ビジネスでも「挑戦と失敗を繰り返す」ことが成功の秘訣となる。そのためには、個人という弱者の利点をきちんと理解しなければいけない。

本書は決して、これまでのビジネスモデルが悪いと言っているわけではない。むしろ、大企業のような巨大組織はあまりに強く、個人ではまともに相手ができないと言い切っている。同じ土俵に乗れば、資本も人手も大量にある大企業が勝利するのは当然なのだ。そこで著者は、「ゲリラ戦術」という大企業には不可能な戦い方を提案しているのである。

これから個人としてビジネスを始めようという人にとっては、新時代を生き残るためのルールブックになる一冊だと言える。また、今は大企業で働く一人だという人にとっても、別の生き方を考えるきっかけにある本だろう。これからのビジネスについて考える前に、一読する価値は充分にある本だ。


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