お祭りなのに見られない!? 三大勅祭とは何か
段々、冷たい空気が温かくなる中、そろそろ桃の節句が近づいてきていますわね。春のお祭りと
聞くと、やはり「ひな祭り」が挙げられると思いますが、日本の三大祭の他に、勅祭(ちょくさい)というものがあるのをご存知でしょうか。これは、天皇の勅使(ちょくし)がつかわされるお祭りで、特別な催事なのですわ。今回は、その三大勅祭を紐解いてみましょう。
勅祭って何?
お祭りと聞いて浮かんでくるのは、基本的に日本三大祭の方ですわね。「ねぶた祭り」等の大きなお祭りもありますが、この勅祭(ちょくさい)とは、天皇の使者が派遣されて執り行う神社等の催事になりますわ。この勅祭は、基本的に3つのお祭りのことを指しているんですのよ。まず、京都の「葵祭」。正式には「賀茂祭」ともいわれていますが、5月に行われるお祭りですの。同じく京都の「岩清水祭」と、場所は違いますが奈良の「春日祭」も含まれていますわ。この3つは古くからの儀式の形を守っていこうという考えを持っているからこそ、今でも大切にされているのです。
だからこそ、場所によってはそのお祭りが行われている場面を見られないことも……。それだけ、厳粛に行われている証拠ですわね。
葵祭とはなにか
それでは、勅祭を1つずつ明らかにしていきましょう。まず、葵祭は京都の三大祭の1つであり、
もっとも優雅な催事といわれていますわ。行列を作って練り歩くときは、「平安貴族」の格好で
移動するので、思わず注目してしまうでしょう。とても目を引きますし、その豪華さに自然と
ため息が出てしまいそう。
この祭の特徴は、日本の中でも珍しい「王朝風俗の伝統」が残っているという部分にありますの。この葵祭は別名「賀茂祭」とも言われていて、現在の呼び名になったのは、御所車や使者の服装のあちこちに「葵の紋」が使われるようになってからですわ。ちなみに、この葵の紋はフタバアオイという種類で、「徳川家」のものとは違いますので、ご注意を。
古くから、この催事は宮中の儀・路頭の儀・社頭の儀の3つを行っていましたが、現在は宮中の儀以外の2つが残っているとか。練り歩くのは、京都御所から下鴨神社を経由して、上賀茂神社
まで。それぞれの神社では、使者が「あずまあそび」と呼ばれる舞を奉納するとか。とても雅な
雰囲気だからこそ、見物客も多いのですね。
岩清水祭の内容は山下り⁉️
岩清水祭は、京都の岩清水神社にて行われるもので、例年9月15日に行われていますのよ。
この神社は「伊勢神宮」と同じように、皇室の祖廟(そびょう)と呼ばれていて、仏式の行事が多いのが特徴になりますわね。この岩清水祭は、元々男山のそばを流れる川に魚や鳥を放って、
「生きとし生けるもの」の平安と幸福を祈ったお祭りになります。しかし、戦争などで日が伸びてしまう機会が多く、明治時代になったときには「神仏習合」の法によって禁止されてしまうのですわ。しかし、古くからずっと続いていた儀式を大切にするべきだという意見が出たことも……。
そして、明治天皇の号令により、かつての様式を忍ばせるような形でのお祭りへと変化していき
ますのよ。
お祭りの内容は、男山の山頂にある岩清水神社より、大行列が下っていくというもの。下っていくときの時間は深夜になりますので、暗い中、炎を頼りにおりていくのですわ。そして、朝方に
放生川(ほうしょうがわ)という場所で鯉などを放流し、使者たちが舞を奉納しますのよ。松明と
提灯の光だけで照らされる道だなんて、とても神秘的ですわね!
一か所だけ場所が違う春日祭
さて、最後の勅祭になる、この春日祭は奈良県で行われていますわ。場所は春日大社で、天皇からの使者が大社の元へと向かい、「国家の繁栄と安寧」を祈っているのです。「参道」での祭事は、見ることができますけれども、「回廊内」での儀式は見ることができません。神聖なものだから
こそ、目に触れてはいけないという意識なのでしょう。行われるのは、3月13日であり、かつては2月と11月の上申の日におこなわれていたとか。現在の日に制定されたのは、明治以降の話になりますわ。国家の安寧を祈る際、使者は平服するように頭を低く下げるといわれていますのよ。
それだけ、神への畏敬の念が強いという証拠でもありますわね。
終わりに
今回は、日本のお祭りの中でも特に重要な3つを紹介いたしましたわ。この中で見やすいのは、「葵祭」です。見物するための席も用意されていますので、もし興味がある場合は一度行ってみるのも良いかもしれませんわね。また、どの祭も練り歩く使者たちの服装はとてもきれいで優美。
雅な雰囲気に、目を離せなくなってしまうことうけ合いですわ!そして、それぞれのお供え物へ
気持ちをしっかりと込めるからこそ、現代の日本は平和でいられるのかもしれませんわね。私も、少し神様への意識を今一度、しっかりと持ち直すことを意識しようと思いますわ。