オメガバースとは一味違う設定?Dom/Subユニバースについて

オメガバースとは一味違う設定?Dom/Subユニバースについて

オメガバースとは一味違う設定?Dom/Subユニバースについて

商業のBL界隈で2015年に現れたオメガバースも有名になり、様々な作品で取り上げられるようになりましたわね。でも、日々新しい設定というものは生まれているのです。その中でも、今、人気の高い「Dom/Subユニバース」について紹介いたしましょう。この設定を深く知ることで、新しい扉が開けるかもしれませんわ。

基本的な設定について

基本的には、オメガバースと同じように、「第二の性」が現れ、それを「Dom」と「Sub」で分けている形になりますのよ。この性を設定内では「ダイナミクス」と名付けているようですわ。
そして、そのダイナミクスについても詳しく紐解いていきますわよ。
Dom
この性は、SMでいうSの立場の人たちのことを言います。相手であるSubのことを「支配したい」という欲求を本能的に持っていて、守ってあげたい、信頼されたいという願いを心の中に秘めているのですわ。
Sub
一方、こちらはSMでいうMの立場の方。こちらは、Domの人に「支配されたい」という思いを抱いていて、尽くしたいという気持ちやかまって欲しいという欲求が強く現れるといわれていますわ。

どちらも持っている欲求は本能的なものであり、もし、自分のパートナーが長い間見つからない場合は、「体調不良」などの悪影響が出てしまうとか……。

コミュニケーションは例えるのなら犬のしつけ?

犬と言ってしまうと、少しキツすぎるかもしれませんが、Domの方がSubと一緒に過ごす際によく使われる言葉があります。その一例をお見せいたしましょう。

まずは、「Kneel(ニール)」と呼ばれるもの。これは、日本語で言う「おすわり」の意味を持っていますのよ。イラストで描かれているものは、床にペタンと座っている姿が多くありますわ。そのため、このKneelがSubの基本姿勢とも呼ばれているんですの。また、Domの方に睨まれたりプレッシャーをかけられたりした場合、Subは無意識にこの姿勢を取りたくなるとか……。

他にも「SafeWord(セーフワード)」というものが設定されており、これは、SubがDomを止められる言葉ですわ。基本的にSubが危険な目に合わないように、パートナーとの間で決めておく「大切な鍵」になりますのよ。この言葉を言った場合、どんな時だとしても、Domは行為を止めなければいけませんわ。
そして、「Sub space(サブスペース)」という言葉もありますの。これは、Subが完全にDomの支配下に入ったとき、クラクラとしてしまう現象のこと。このふわふわした状態のことをSub spaceと呼んでいて、まるでお酒に酔っているかのようにとろけてしまうのですわ。ちなみに、この言葉の逆は、「Sub drop(サブドロップ)」という名前がついていますの。Domの圧力に気圧されて、プレッシャーが高まりすぎてしまうと、従うという本能を全く知らない相手に利用されてしまうこともあるとか。そして、その後何もフォローがされなかった場合、一気にトランスが解けて恐怖と虚無感を一気に味わうことになってしまいますのよ。怖さと呆気にとられる感覚が近いのかもしれませんわね。

基本的には、Subの方が自分の支配権をDomに渡すかどうかを決めることができますの。しかし、強烈な恐怖や不安の前だと精神的パニックからトランスしてしまい、その考えや気持ちも一気にDomに持っていかれてしまうのですわ。ですから、しっかりと落ち着いた気持ちで、両者が向き合う姿勢が何よりも大事になってきますのよ。

この関係は「信頼」が第一!

このDom/Subユニバースで何が大切かというと、一番は「信頼関係」ですわ。二人の間で、コツコツと信頼関係を築きながら相手がどういった人物なのか。そして、自分の身を預けても大丈夫な相手なのかをじっくりと見極める過程が大切なのです。

何事も、初めから全て信頼しているわけではありません。それは、二次創作でこの設定を使う時も同じになりますわ。流石に仲の良いキャラクターだったとしても、一から十まで全て信頼しているわけではないはず。だからこそ、二人の間でしっかりと信頼を築くきっかけを作ってから、この設定を盛り込んでいけば、そのキャラクターの魅力も高まるでしょう。

あぁ、でも皆さん勘違いしないで頂きたいのは、このDom/Sub設定が性行為の時だけではないというものですわ。日常的な行動の中でも、相手に尽くしたい、優しくしたいなどの気持ちからの行動でも設定は使えるということを覚えていてくださいまし。そして、必ずしも一方的なものではないということ。Domの行動だけでSubは抵抗しないとは言えませんし、自分が嫌な物事を前にした場合は、先程取り上げたSafe wordを使うことで回避可能なのですの。だからこそ、両者の精神的な支えを作っていくという物語を作ることもできると思いますわ。

最終的なパートナーへ「Claim(クレーム)」

クレームといっても、日本の意味ではなく、「強く発言する」といった意味合いの言葉で使われているんですの。そのため、この設定の中では、Domが正式にSubをパートナーとして認め「首輪」を送ることを指していますわ。この首輪を「Color(カラー)」と呼びますのよ。オメガバースとの違いは、運命の番のように「切り離せないわけではない」という部分。誰と一緒になるのかは、Subが決められる。だからこそ、そこにドラマが生まれるのですわ。

ですから、自分でこの設定を使う場合は、そのキャラクターごとの意識や気持ちの変化なども丁寧に描写してあげると、ロマンチックなイベントへと変わっていかもしれませんわね。

実はいろいろ作る設定によって変わる世界

このDom/Subユニバース。実は、海外のファンが作った設定なのですわ。創作物として作った設定の中でも、様々な区分がされていますの。

まず、広い意味でSMの設定が入っているものを「BDSM」と呼んでいて、ここから「Dom/Sub」や「Dom/Sub Under tone」と呼ばれる日本のBLの立ち位置のもの。そして、パラレル系にDom/Subを組み合わせた「Dom/Sub AU」と種類がありますのよ。最後のパラレル系との組み合わせだと、現実社会にはない法律などの社会設定を使うため、このシチュエーションがキャラクターの性格や人格に食い込んできますわ。

ですから、自分の書きたい作品がどこに当てはまるのかを意識してみると、より深く練りながら作り上げることができるでしょう。

終わりに

支配し依存する関係に、一見エゴイスティックな設定に見えてしまいがちですわ。しかし、この設定の根本にあるのは、相手との「信頼関係」になりますわ。お互いを尊重し、相手に自分を与えるといったつながりをつくる様子に、胸が高鳴るのを感じるでしょう。
身体的な快楽も得られるけれど、精神的な満足感までしっかりと体験できるこの設定は、この先少しずつ知名度が上がっていきそうですわね。自分の好きなシチュエーションの中に、「主従関係」や「SM」が入っているのなら、この設定をぜひ活かしてみてくださいまし。自分の納得できる作品が生まれるかもしれませんわよ。